「循環型社会に向けて、環境問題を考える」
NPO法人環境カウンセラー会ひょうご主催の3月まで5回シリーズの連続セミナーが開催されている。市民向けセミナーの第1回目の内容を紹介する。勿論、環境問題に関心の高い企業からの出席も視野に入れた内容となっている。
シリーズのテーマは「循環型社会に向けて、環境問題を考える」で、第1回は1月13日(土)に神戸駅前のひょうごエコプラザで開催され、「このままでは行き詰まる廃棄物処理問題を考える」として2人の発表があった。また、発表後に講師と会場の参加者とで、ゴミ減量の工夫や生ゴミ対策など活発な意見交換があった。内容は充実しており、今後、参加者の増大が望まれる。
講師紹介 長本政子さん
環境カウンセラー(市民部門)で同会の副会長。環境問題等には市民の立場での長年の実践活動があり、兵庫県では大変著名である。また、兵庫県生活学校連合会幹事、西宮市こども会協議会、西宮市安井地区子供会連合会等のお世話をされている。
環境を考える・生活者から見たゴミ問題
ゴミ減量に向けての市民の行動は大きな推進要因となっている。
- よく知りましょう 情報と知識まず、知ることから
- 生活面での工夫
自家製リサイクルや衣類のリフォーム、過大包装を買わない、容器類の家庭内での再利用、分別のルールを守ること等の活動を通じて、西宮市では、
- 燃やすゴミは 週2回、
- 燃やさないゴミは週1回、
- 資源ゴミはA,Bに分けて新聞や雑誌など回収する仕組みが出来上がった。
また、粗大ゴミは電話で申し込んで有料で回収する仕組みができている。
- 容器包装リサイクル法が平成12年から全面施行されたが、現在7種類に識別されているプラスチックの回収のあり方を今後検討していく。
- 生産主導型から市場サービス型社会へ
再商品化に必要な条件として・安全、・使用感の良さ、・耐用日数などがある。
- 子供たちと一緒に考えるゴミ問題
子供会活動を通じて150名の小学生に
・飲み終わったジュース缶をどうしているか?
・牛乳パックはどうしているか?
・古くなった料理の油はどうしているか?
などの投げかけを通じて、家庭内でのコミュニケーションや環境教育のあり方を考えさせる内容であった。
講師紹介 加治直光さん
環境カウンセラー(市民部門)で鹿児島県のご出身。加古川市役所に勤務され、環境問題やゴミ問題、水道等の業務に携わってこられた。今回は、行政の立場でクリーンセンター(清掃工場)に5年間勤務された経験から、廃棄物処理問題について解説頂いた。
ゴミ対策の実践を、処分場を通じて考える
わが国では、ゴミは焼却するシステムができあがっているが、産業廃棄物の最終処分場確保の困難性等から、ゴミの減量化が最重要課題の1つである。
このため、法整備が進み、(1)廃棄物の発生抑制、(2)使用済み製品の再使用、(3)回収品を原材料にリサイクル、(4)エネルギーとしての利用、(5)残った廃棄物の埋立て等の適正処理と優先順位が示された。
廃棄物減量化の実践的な取組み例について,ホームページ等からの幅広い調査結果の紹介があった。
加古川市では家庭からの一人あたりのゴミ排出量はほぼ横ばいであり、事業系も入れると1.1.kg/人・日と全国平均並みである。ゴミ処理費用の40%12億円が収集費として、全体で30億円が税金でまかなわれている。
ゴミ減らしのために,容器包装などとともに生ゴミの抑制が特に需要である。ゴミの半分は水分であり、悪臭の原因にもなるので生ゴミの処理に市民の協力が望まれる。
両氏の講演のあと、会場との意見交換があった。
生ごみの処理について、米ぬかやボカシによる発酵処理、コンポスト化などに関心が高く、実践例などが紹介された。
コンポストによる処理も少し乾燥させて投入がよいとか、被処理物の熟成度確認はビニール袋に入れて天日に干して膨れなければOKなど、体験に基づいた活発な内容であったが、さらに広がりのある活動にするにはもう一工夫必要との感じがした