技術士の社会的貢献と存在感の向上

技術士試験はとても難しいのに!

技術屋にとって技術士資格は、自分の努力を外部が評価してくれる憧れの対象である。私の受験結果は2勝5敗であるが、平均以上となった。不合格の時は、何が原因か一切の情報がないので精神的にも負担が大きい。

ところで、私の名刺には名前の下に「技術士(環境)・環境カウンセラー(事業者、市民)」と刷り込んでいる。名刺交換の際、人は会社名、役職、名前位しか見ないが、「ほおー!環境カウンセラーですか。」と言ってくれる人はよくあるものの「技術士ですか。」といってくれる人は少ない。稀に「ほおー!技術士ですか。博士より難しいと聞いているのにすごいですね。」と言ってくれることもある。 

技術士は文部科学省の国家試験であり、環境部門の合格者累計は8年間で569人、申込み者に対する合格率は10%程度である。一方、環境カウンセラーは環境省の登録制度で合格者は6年間で約3000人と6倍近く、合格率も50%以上と推定される。

*名刺の表示は「技術士(環境・総合技術監理)・環境カウンセラー(事業者・市民)」に変えた。

社会的役割の増大と技術士法の改正

技術士は、科学技術に関する高度な知識と応用能力及び職業倫理を備えている者に与えられる資格で、名刺等にその名称の使用が認められる。平成12年に技術士法が改正され、技術士の社会的な役割の大きさの中で存在感の向上を目指し、従来からの信用失墜行為の禁止、守秘義務の他に次のような内容が追加された。

  1. 技術の高度化や総合化等に対応できる技術士確保のため基礎的学識を重視
  2. 公共の安全や環境保全等の公益確保の責務(倫理等)が明記
  3. 技術士としての資質の向上に努める責務が明記
  4. 総合的な技術監理の課題に対応できる人材育成のため「総合技術監理部門」の新設

技術士全国大会を変革のきっかけに!

来年秋、9年ぶりに大阪で技術士会全国大会が開催される。【創】のテーマのもとに「環境技術」「産業技術」「生活技術」「伝承技術」「マネジメント技術」の5分科会の実施が理事会で決定した。北山実行委員長(農業部門)のもと現在17名で全体を取りまとめるが、分科会運営の具体化を図る第1委員会の安カ川リーダー(環境など4部門の技術士)の推薦で私も委員に入れて頂いた。

21世紀の経済社会は、20世紀末の失われた10年からの脱却、構造改革を図る必要がある。その中で技術士は本来期待されているポテンシャルを、どのように発揮し社会に貢献できる存在になれるか、変革のきっかけになるような運営に参画できる幸運と役割の重大さを感じている。来年までのプロセスをおおいに楽しみたい。

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