「中小企業への技術コンサルティング」

ネットワークの情報より

企業OB(シニアエンジニア)と中小企業

厳しい経済環境の中で中小企業が活性化していくためには、大企業OBの技術を活用することが重要と、国でも支援策が検討されています。BCCという専門家ネットワークの現場情報を紹介します。

企業を退職後、技術士として活動を始めている(X氏)

中小企業の状況は4,5年前とは様変わりし、相当に厳しくなっています。最近急激に変わってきていると感じているのがエンジニアリング或いは設計のあり方です。

国際市場の価格は中国や韓国がプライスリーダーで、環境、焼却部門も過当競争下の需要減退で市場価格の低下は激しいものです。このような中、大企業は十分なリストラが出来ず、しわ寄せは調達価格の削減となっています。ある小企業の社長が取引のあった大手の会社に引き合い継続の商談に行ったところ、続けたければ従来の半額にて受けろとの要請で即辞退したとの事。大企業と付き合っていると倒産するというのが多くの中小企業の社長さんの本音に近い状況です。

シニアエンジニアへのニーズは大

このような中、今まで加工請負或いは自前の技術者を有していても技術力が乏しかった会社が多く、それらの会社が生き残るには従来高給な大企業が担当していた設計やエンジニアリングを引き込むことで、それらが出来、給料も多額を要しない定年退職した実務者の活用が有効です。もう一つのニーズは小額で基本設計或いは基礎的エンジニアリングのみを定額でどこかに依頼したいというもの。 この場合も定額である定年退職者グループが頼りです。材料、物流とか管理等、本来の生産活動以外の費用が高い国ですので設計、製造への配分コストは小さくなり、このような会社規模、組織、給料でないと現在の市場価格には対応できなくなってきているようです。

定年後中小企業の技術顧問をしている(Y氏)

昨今は不景気で、どの会社でも経費削減が叫ばれています ここでアドバイザー(技術顧問)として役立つためには 先ず現状の経営を良化させることが出来るかです。歩留まりの向上、品質問題の解決、市場不良の再発防止、生産性の向上など経営の合理化を現場と一体になって徹底解決する事です。これらの課題解決には新製品開発などと違って当たりはずれはなく、そんなに費用をかけなくても 大きな経営効果が期待できるからです。 これらの課題解決を本人達がやったという実感をもってもらうように勉強してもらい、これらの継続が経営を良化し人材が育ち、自信がついて実績を積み上げていくことで、信頼をかちとり、アドバイザーの存在を認められるのです。そこで私は課題解決の基本にIT技術を駆使して何事も数値化することで、普遍性、課題解決のしやすさ、再現性を確認できるようにしています。

顧客獲得のためには

こうした活動を通じて 会社全体の技術、製造力、販売力などなどが見えてくると、ここからがアドバイザーの真価を発揮するところです。ここで問題は、どうしたら指導を受けたい会社があるかを見つけ出せるかということです。私の場合は 会社に在籍中に懇意にしていた社長から要請されたり、友人などから紹介を受けて4社の技術顧問に付いていますが、こうした会社を継続的見つけ出すのが課題です。

上記の企業探しに商工会議所や中小企業団体中央会と接触し、異業種交流会などに参加して接点作りを始めています。少し時間はかかりますが、やはり人的繋がりを作り、信頼を得なければ何事も始まらないようです。中小企業を取り巻く環境は厳しさを増しており、外部からの知恵を必要としている状況は大手企業より非常に強くなっているようです。

BCCネットワーク URL http://www.mmjp.or.jp/STF/

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