「技術士と環境カウンセラー」
ネットワーク情報より
企業OB(シニアエンジニア)として中小企業と付き合う
シニアエンジニアとしての活躍の場はなかなか厳しい状況です。技術士と環境カウンセラーの二つの資格を持った方からの意見についての情報を紹介します。
技術士に基盤を置いて活動していきたい(A氏)
技術士はプロフェッショナルな文部科学省の国家試験に合格した職業資格の名称です。環境カウンセラーは過去の経験知識をボランティアで活用しようとする環境省の登録制度での名称です。設立時の志、社会的な役割には大きな違いがあります。 技術士は、技術(仕事)に向かい合い、技術的な知識経験を活用して高度な応用能力を発揮できる力を蓄積しています。これをベースに腕前を磨き上げることで社会に役立つ専門家になります。 ところが、技術士を育てる社会的な仕組みもないし、技術士会(団体)がこれを作ろうとする意欲も余りないようです。新人の技術士に対し、先輩の専業技術士から技術士としてどのような仕事をしているか経験をお聞きすること、新人技術士の相互の経験を披露する程度です。私がコンサルタントとして独立した基盤は技術士の資格です。しかしながら、技術士は世間との付き合い方、マーケッテイングに関する経験・訓練が余りありません。
環境カウンセラーのほうが名称のインパクトが大きい
私のもう一つの基盤は環境カウンセラーです。環境カウンセラーは現在3000名が登録されており(技術士は5万名、環境部門の技術士は600名)、環境問題に対する多様な経験をされた方々です。資質的には(見方によりますが)技術士の方がレベルが高いと思いますが、組織的には環境カウンセラーの方が可能性が高いと思います。その理由は、
@名刺に技術士と環境カウンセラーと併記していますが、80%以上の方は環境カウンセラーの肩書きに反応されます。社会的な貢献の可能性が高いと受け止められます。
A環境カウンセラー会は幅広い環境問題について異質な経験者の寄り集まりです。自分ひとりでは解決できない問題でも、柔軟に対応できそうです。環境カウンセラーの組織(概ね都道府県単位でできている)的な連携が、現実的に出来上がりつつあります。。
環境カウンセラーとしてなら仕事は確保できる(B氏)
技術士として中小企業のオーナーと仕事をするのは大変です。
@オーナーはこれまでの実績から強い自信と誇りがある。
A相手をなかなか信用しない。
B相手を信用するには実績(往々にして古いもの)が必要で、先の見通しは俺だと思っているので、必要な技術についても全貌を伝えず、局面だけ示して解決策を得ようとする。
「木を見て森を見ず」良い解決策は出ないというのに、このような特性があるので中小企業と付き合って実績を上げるには忍耐と時間がかかる。小さなことでも少しずつオーナーの信用を得て、考え方のパターンを体得し、核心に近づかないと仕事にならない.
環境カウンセラーはボランティア
このようなことから、私は技術士としての仕事は殆ど取りやめ、環境カウンセラーの仕事に偏ってきています。環境の仕事は、環境カウンセラーの立場では、お金になる仕事は殆ど無い。啓蒙・啓発事業が主ですから、経費+α が出ればいいところです。年金生活者となり社会に還元すると割り切れば、ボランティア的な仕事はいくらもあるようです。お金をかけないと実りある実績は上がらないと思うのですが、そういう風潮です。
編集者コメント(C氏:宮崎氏)
私は上記のB氏の中小企業に対するコメントに同感を覚えます。私自身様々な中小企業の経営者とつき合う中で、彼らとはビジネスが難しいと感じております。
私がつき合った中小企業経営者の一般的特徴は、
- 非常に優れた嗅覚を持った人が多く、カリスマ性がある
- 部下を信用しないし任せない(任せないのでNo.2が育たない)
- 経営者と社員の能力に非常な格差がある(社長だけが飛び抜けている)
- 自分の本心を明かさないし人をなかなか信用しない
この姿勢でこれからの時代を生き抜けるとはとても思えませんが、私としては経営者がどうしようも無いところに行き着くまでは積極的な接触は求めないでいようと考えております。(押し売りが来たとは思われたくないので)国や自治体が様々な中小企業支援策を用意しておりますが、自ら必要なものは身銭を切ってでも求めるようにならなければ本当に役立つもの、必要なものは手に入らないと思います。
上記3氏の意見に対して(D氏)
私も技術士と環境カウンセラーや旧特許流通アドバイザーの資格を利用しながら8年間やって来ました。A氏、B氏のとおりです。今回メールを厚かましくも差し上げたのは、中小企業のオーナーとの交際術が、今の私のテーマであり、宮崎さんのおっしゃるカリスマ性、人をなかなか信用せず、本音を出さないのは、全く同感です。技術の仕事においては、本当にどうなのかを言ってもらえないと対処のしようがありません。技術上の問題解決には、時間と費用を必要とします。中小企業の経営者は、費用対成果に敏感で、いかに早く成果からお金にするかが、社長の役目です。真面目な技術者は、それに対応しきれないようです。私の考えは、接触し合わないとお互いに切磋琢磨出来ないと思うし、日本の現在の課題解決方策は見つからないと思います。
BCCネットワーク URL http://www.mmjp.or.jp/STF/
コメント
貴方はどのように思われましたか。ちなみにA氏は私です。