ISO認証制度と支援業務
ISO9001:2000年版品質マネジメントシステムは1987年から使い込まれたシステムの改良版で、企業が経営のツールとして使いやすいものになっている。認証取得した事業所は今年12月までに2000年版に切り替えることが求められているが、この機会にシンプルな使いやすいものに切り替える大きなチャンスである。
@審査登録に関わる最近のデータ
審査登録機関
わが国の審査登録機関は60以上にもなっている。経営の安定を考えるとクライアントを500社以上持つ必要があり、サービスの質向上と量的な拡大に向け、生き残りをかけた熾烈な競争が予想される。
審査員の過剰感
審査員の名簿(JRCAが発行)を見ると、この1年間で2000名増加し11000名弱になった。 内訳は主任審査員が20%,2000人で前年比500名増、審査員は10%(横ばい)、審査員補は70%(1500名増)となっている。認証取得事業所数は約30,000件で、審査に必要な工数を5人日/社×1.5回/年とすると審査員以上の3000名の実審査日数は6日/月である。審査員になるための資格基準は実績が重要で厳しく、かなり狭き門である。
*私は審査員として、審査経験を積んでいるところである。
A審査機関とコンサル機関の変化
審査機関とコンサルティング機関の役割分担の明確化
審査機関は、クライアントに対して規格要求事項についての解釈説明しても良いが、コンサルティングは行ってはならないと役割分担がはっきりしてきている。従来、審査機関は予備審査で受審企業の指導を行ってきたが、本審査のための予備的な調査にとどめるようになってきている。
審査のパフォーマンス向上と費用の合理化
審査機関が、60 にもなり、厳しい競合状態にある。このため、受審査企業の信頼をかちとるために、経営に役立つ審査が求められる。規格要求事項への理解が基本であるが、これからは企業の経営に対する理解度が重要である。また、少なくとも大阪周辺などでは東京など遠方からの審査員による審査で交通費を上乗せして請求することは特別な事情がない限り許されなくなってきた。
コンサルティング業務の合理化・低価格化
システムを構築する事業所の規模が30〜100人程度と小規模化している。このことから、従来の大企業と違い、認証取得にかけられるマンパワー及び資金に制約があることから、一層、合理的なコンサルティングが求められる。最近では、コンサルティングのツール、スキルの整備に伴い認証取得に必要なコンサル日数が従来の20〜25日前後から15〜18日日前後に、費用も内部監査員の養成、模擬審査の実施を含むパッケージで120万〜250万円程度にまでなってきている。
Bコンサルタントとどのように契約するか
新規受審企業が年間5000社とすると、その80%がコンサルタントを活用するとしてコンサルタントの仕事量はせいぜい1000名程度である。審査機関の審査員の半数は委託の審査員として契約しており、通常は一方でコンサルタント業を営んでいる。システム構築を計画される企業は、コンサルタントをどのように探し活用するかを真剣に検討し、情報のネットワークを活用して信頼できるコンサルタントと契約することが重要である。
規格要求事項の理解は勿論であるが、ISOは経営のツールであり、企業の実態を把握し、認証取得後、企業体質の改善、システムの使い込み活用に役立つような支援が出来るコンサルタントをめざして研鑚・努力していきたい。
*ISO14001環境マネジメントシステムについてはまたの機会にコメントしたい。