四国88カ寺の巡拝
昨年、高松での仕事が始まり、夏休みを兼ねて家内と車で88カ寺の巡拝をスタートし、この正月早々に無事巡拝を終えることができた。色々な出会いがあり、気づきがあった。
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お札の表と裏 |
45番札所の岩屋寺で巡拝が完了
仕事の合間にということで、日帰り、一泊2日、団体バスでの二泊3日の巡拝など6回延べ12日と方向も順序もバラバラであったが、最後は45番札所の海岸山岩屋寺(愛媛県久万高原)だった。愛媛県の中央部、海抜700mの峠を越えた高原、近くにスキー場が4箇所ある。前の晩、雪が30cmも積もったが、当日は好天気で道路の除雪もスムーズで、幸運だった。
お寺の山門から登り道を20分歩くと本堂、大師堂がある。お参りが終わり、山門前の売店の奥さんにお話したら、過去に347回も巡拝された89歳の方の記念のお札を、無償で譲り受けることになった。一期一会、不思議な縁を感じざるを得ない。
きっかけも縁
わが家は日蓮宗であるが、日ごろ知人などとの会話で巡拝された話を聞くことがあり、他に次のようなことがあった。
@ 5年ほど前、中国へパック旅行した時、西安(昔の長安)の博物館で1200年前に留学された弘法大師のお姿の拓本の掛け軸が入手でき、心の中にきっかけができた。
A 今年、南淡路市になった国立公園内の慶野松原に数年前、リゾートマンションを入手したが、1番札所の霊山寺まで高速道路を通り30分程度で巡拝の基地としてとても有効。
B 仕事が高松で始まり、お寺参りがどんなものか経験できるチャンスができた。
初日は車で淡路島を出発し、1番札所の霊山寺で納経帳と順路地図を購入。高松道で 88番札所の大窪寺への順路が分からなくて苦闘。初日は4カ寺のお参りであった。
団体バスでの経験
歩き遍路といって、歩いて回られる方、車、団体バスなど色々な巡拝の仕方がある。11月にバスツアーに参加したが、お寺ごとに般若心経などのお経を合唱する。何度も回られている方が多く、私たち二人だけが用意できていない。途中で白衣(おいずる)を買い求め、段々心構えができていく。ツアーには80歳になっても参加できるが、「健康」、「お金」、「時間」が必要である。例えば山の中のお寺などでは石の階段の上り下りなど結構体力が必要で、この時は全員無事にお参りでき、ありがたいという気持ちになった。
同行二人(どうぎょう2にん)
これから「生老病死」の死について考える意味が増大する。一昨年、ごく親しくしていただいた先輩がガンで亡くなられたが、「死ぬのは怖い」といっておられたと奥さんからお聞きした。「同行二人」、いつも(弘法)大師と一緒にいるという安心感、般若心経のような宇宙大の世界観の中で死ぬときの心の準備をする機会・訓練にもなる。
「環境」「健康」「観光」(新3K)
地域の復権、振興のために「新3K」という言葉が使われている。四国のお寺周りはまさにこのシステムを具体化したもので、1000年以上前に作られたお寺の周辺には杉、ヒノキなど古木が生い茂っている。
今回の旅で道路網の整備が進んでいることにも助けられた。4県を結ぶ高速道路がほぼ完成し、一般道路を含めスムーズに移動できる。日ごろ高速道路は渋滞が茶飯事の大都市周辺の生活者にとって、道路整備が利便性、地域の活性化に大変役に立つという当たり前のことにも気づかされた。関西地域の復権には課題が多いが、主要な幹線道路の整備・推進もその一つで四国の他、中部地域にも相当遅れをとっていると思われる。
NHK:ラジオ深夜便「心の時代」より
「四国88カ寺の遍路と健康について」
古藤高良氏(筑波大学名誉教授)のお話。
この放送はH12年放送分の再放送で1月14日、朝4時から1時間弱の放送であった。
弘法大師とお遍路さん
弘法大師空海は31歳のときに遣唐使として長安(現在の西安)に行き、仏教の勉強、真言密教を極められ、帰国後、その布教に勤められ62歳で入城)された(なくなられた)。
古藤さんは62歳で弘法大師が開いたという四国88カ寺、延べ1140kmを歩き遍路として34日で周られた。「歩くことの苦しみと楽しさを味わった。筋肉がバラバラになるほどきつい行程であったが、結果として「身も心も変わる」経験をした。歩いていると「自然を自然に見ること、自然のシグナルを感じる」ようになった。天候など毎日の変化に対応するための判断力、「心の力」が養われ、自信ができてきた。」とのことである。
歩きと健康
歩くことによって、「足」を鍛え、身体が鍛えられる。足は身体を支えるもので、ギリシャ語でも「足」は生活するという意味がある。人体には延べ10万km、地球を2周半するほど長い血管があり、血の循環を良くすることから「血管の若返り」につながり、足は第2の心臓ともいわれる。また、階段の上り下りは平地の3.8倍のエネルギーを必要とすることから。エアロビクス効果として体内の脂肪を燃焼させるとともに、副腎を刺激してストレスをなくすのにも効果的という。
「カタツムリ ゆっくり登れ 富士の山」
古藤さんは現在、「日本タートル協会」の会長をされている。タートルは亀であり、ゆっくりでも良いから歩くことを奨励されている。
わが国の医療費は年間28兆円、うち老人医療費は11億円を占めている。「寝たきり老人」になると医療費は一人あたり年間500万円にもなるので、1日1時間歩くことで健康を維持すれば、老人医療費は半減できるとのことである。
コメント
私が88カ寺を回り始めたのは、偶然とはいいながら弘法大師が亡くなられたのと同じ62歳である。車で回るという忙しい旅行であったが、好天にも恵まれ、本当に上手くスケジュールをこなすことができた。これからの人生を充実させるために、春になると少し歩き遍路の経験をしたいと思っている。
私と家内の車での88カ寺巡拝メモ(延べ12日間)
- @2004年7月:3日間で13カ寺 (徳島県2、香川県11)
- A10月:1日で13カ寺 (香川県12、愛媛県1)
- B11月:3日間で17カ寺(高知県13、徳島県4)巡拝バスツアー
- C12月:1日で14カ寺(徳島県14)
- D12月:2日間で20カ寺(徳島県3、愛媛県17)
- E2005年 1月:2日間で11カ寺(高知県3、愛媛県8)