「ホテルの裏方を語る」
福本真一氏(ホテル竹園芦屋社長)
勉強会(菅原ゼミ)での講演より
JR芦屋駅前にあるホテル竹園芦屋は巨人ジャイアンツの定宿を50年間、 中日ドラゴンズの定宿を30年間以上続けている。そのホスピタリティを覗うお話を聞く機会があった。
ホテルのホスピタリティと経営
竹園旅館からホテルに変わった時、従業員の気持ちもドライな能力主義になったことを痛感したが、ホテルの経営は、ホテルの仕事が好きで現場からたたき上げてきた者とホテルマネジメントを大学で習ってきた者が協力することが必要である。 福本社長は関西学院大学を卒業して以来経営に携わっておられ、 「高い倫理観を持って職業活動する。満足をシェアする。 適正な利潤を得て利益をシェアする。地域に信頼され、信用が得られる。」 との考えで地域のコミュニテイホテルを目指している。 例えば、 年末年始は毎年同じ人たちと出会うが、お帰りなさいという気持ちが伝わるように心がけている。人口9万人の芦屋市で、総売上高は全国の200位 、床面積あたりの売上高はホテル日航大阪などと同じ100位前後で、 コミュニティホテルとして高い評価を得ている。
震災でもお客が離れず!
平成7年に阪神淡路大震災にあって、ホテルが大きな被害を受け、休業、従業員は一時解雇した。9月に補修が完了したので、震災当日宿泊されていた30数組のお客様を招待したところ、ほぼ全員が宿泊して再出発を祝福してくれた。 この間、巨人軍は大阪のリーガロイヤルホテルに宿舎を替えていたが、また戻ってくれることになった。これは大変なことだと同業者から評価された。
巨人軍の定宿として
震災での休業を挟んで今年で巨人軍の宿泊は50年になる。中日にも30年以上利用してもらっている。一昨年、阪神が優勝した時は、日本シリーズに備え、1週間合宿してもらった。 勝負の世界に生きる選手は大きな緊張感が付きまわっており、 食事、睡眠などを含め、 どのように選手のお世話するかは想像以上に大変 である。そのために、選手一人一人の食べ物の好みなどを把握し、サービスすることになる。例えば、長島元監督はサッポロ一番味噌ラーメンが好きで、野菜などを入れて麺は半分にする。朝食で選手が新聞を読んでいる時に、好みの食事を言われる前に提供することなどを通じて培ったノウハウは他所には真似のできないレベルにまで高まっている。
再び経営の心構えについて
ホスピタリティ、スチュワードシップなどの言葉がある。近江商人の「三方よし(売り手、買い手、世間それぞれがよし)」とする考え方があるが、高い倫理観と職業意識をもって、実践が求められている。 例えば、食品衛生に関る仕事は満足を与えてリピーターになってもらうことが重要であり、買い物や食事の繰り返しは真心のこもった対応で感動を与えることで可能になる。
小さな大都市芦屋の実現に向け、その中で今後もコミュニティホテルとしてがんばりたい。
コメント
50年前になるが小学校の時、明石でジャイアンツがキャンプを張っているのを見に行ったりしたので、竹園の存在は、ずっと身近であった。私自身は阪神ファンであるが、 一度食事に行って、ジャイアンツがここを定宿としている理由の一端に触れて見たい。