マネジメントシステムをどう使いこなすかB
3.自立した取組みで成果を出すことが重要
規格要求事項への適合について
知人に進められて個人情報保護法に伴うJIS15001に基づく「Pマーク」認証取得制度の審査人を1年ほど担当した。ISO14001と構成が酷似した規格であり、その面からはシステム構築、認証登録は容易に見えるがそうではない。
規格要求事項に沿って、審査用にしっかりしたチェックリストがあり、これに適合していなければ是正が必要である。私が担当していた頃は、個人情報の漏洩に対するリスクを取り除くために厳密に情報のリストアップとリスク対策が求められるので、是正措置が厳密に求められ、現地審査後、認証取得までに平均半年かかっていた。
認証取得制度の信頼性を確保するため、半年間の是正措置という高いバリアをクリアすることで、被認証企業と差別化できるが、本来は、経営者が法律の趣旨をしっかり理解し、従業員に方針を示し、何が求められているかを伝え自覚させ、自ら考え行動できるように人材を育てればよい。
これはマネジメントシステムに共通した考えであり、認証登録制度の信頼性を確保することは社会的な要請であるとしても、厳しい経済社会では、マネジメントシステムを使いこなして、いかに効果を挙げるかが重要なのである。
コンサルタントの役割の重要性と面白さ
マネジメントシステムのコンサルタントは、専門的能力とともにコンサル能力を身につけることが重要である。規格要求事項の狙いを理解し、これを経営者に伝え、経営者が期待する有効な経営のツールとしてマネジメントシステムを構築し、重要ポイントを社内に根付かせる、使い込むようにサポートする。したがって経営者の目線と現場の目線との両方を持ち、コンサルティングできる高度な専門能力が必要である。したがって、コンサルタントと審査員の役割は自ら異なるので、審査員として有能であっても、コンサルタントとして有能であるかは別次元の問題である。
マネジメントシステムを構築支援し、これを使い込むことで従業員の力量・意識を向上させるとともに、従業員の能力開発、組織の体制の整備につながる。システムを使い込んでいくことで、PDCA(プラン・ドゥー・チェック・アクション)を回し、継続的改善を図れるように社内の自立化、考え行動する力をサポートするのがコンサルタントの役割である。システムが構築できれば、審査機関に申し込み、そこから先は審査員の役割になりバトンタッチする。審査申込みをすると、企業の責任者は、審査員の発言について耳をダンボ(象のよう)にして対応していくからである。
コンサル業務は面白いし、評価されるようにさらに努力が必要!
コンサルをはじめて10年になる。その前に会社の業務でクレーム対策のトラブルシューティングや新しい業務の企画・実施などの仕事を多くこなしてきた。おかげさまでコンサルタントとして何とかやっていけるようになったが、この仕事は奥が深いし、今後もスキルアップ、ネットワークの充実に努めたい。
幸いにして今までコンサルした企業から、新規の顧客の紹介や、システムのレベルアップなどについて再度声をかけていただき、システムが進化していることを確認できることは大きな喜びである。