「ISO進化術」日経エコロジー2008.9より

同誌は第4回目として全国3000事業所の調査を実施し、進化の実態を明らかにした。

認証制度の危機

  • 約4割の事業所がISO14001は費用に見合う効果がないと回答。
  • 環境偽装:王子製紙と日本製紙がばい煙の排出基準を超過した問題が表面化したが、さらに今年1月、古紙配合率の偽装問題がダメ押しをした。それぞれ再発防止処置をとったが、法令順守はPDCAサイクルをきちんと回しておれば防げるはず。
  • 認証の取得・維持費用や文書作りの労力に見合う効果がえられない。これは、規格を作った人、審査登録機関、認証取得事業者にそれぞれ問題がある。活用し、経営に結びつけることが重要だが、要求事項が具体性に欠け、組織が何をすべきか分かりにくい。

CO2削減

CO2削減を意識した活動とし、コスト管理などと連動させ、社員のやる気を引き出す。そのために・CO2排出係数を使用し、CO2排出量の多い項目、削減幅がすぐに分かる管理をする。また、熱と電力を合わせた「エネルギー原単位」「CO2排出量の削減」を管理項目に加える方法がある。

PDCAサイクルを活性化させながら、燃費改善のため車両の走行量と給油量を部門ごとに把握することや主要設備の電源オン、オフ時間を生産計画に合わせて記入して日常管理する例もある。

経営との一体化

ISO14001を「本業」に生かす段階から「経営」に生かす段階になってきた。ダイキン工業では環境と事業の一体化を目指し、

  • 統合認証の取得(2003):営業やサービス、物流を巻き込んだ取組み
  • 組織の機構改革:環境部門を本社に集約。本社から何をすべきか直接事業部へ伝える。
  • 経営トップによる明確なメッセージの発信。会長のステートメントでフロン類を削減した。

キャノンでは国内外あわせ720拠点の統合認証。3年かけてグループ104社のEMSを一本化するなど、「環境」「品質」「経営」を三位一体で統合した取組みが進みつつある。

スピード

PDCAサイクルを1〜2ヶ月と短くし、書類の簡素化(例えばチェックマークを入れるだけで記入するなど)で現場を変える。一方、環境目標の作成には本業と一致しているかなど時間をかける。

調査@(3000社)

企業の担当者が手応えを感じ始めている。また、事業所間の連携なども進み、CO2や原油高がトップを刺激している。継続的にEMSの改善ができている事業所は84%と自信がある。しかし、環境活動レベルが活発になっていないところは今年は36%と減少しているがまだ多い。また、担当者として悩みがあるは71%と多い。個人の意識を高めるため環境目標を本業と関連させることが重要。

調査A:成果を上げていると思われる企業

トヨタ、イオン(↑)、リコー、松下(↑)、キャノン、アサヒビール、ソニー(↑)、富士ゼロックス、シャープ、キリンビール、ホンダ、NEC

イオンの場合流通業でただ1社であるが、:9位→3位→2位と上昇。

温暖化防止宣言(2012の2006比CO2を30%削減)をし、レジ袋の削減、従業員の買い物袋持参や在庫削減などを進めている。店舗が独自の取組みができるように、全社共通の目標はレジ袋と電気使用量、廃棄・売り変更だけにしている。

PDCAは毎月データを取って目標を現場で見られるようにしている。また、従業員が改善しようと言う気持ちを起こさせるのは自分たちで環境目標を決めるからである。

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