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第9号見出し

指導、コーチング革命について 平尾誠二氏の講演  2010年追手門大学のフォーラムより

平尾誠二氏は1963生まれの47歳。ラグビー選手としてまた、指導者として実績は抜群である。伏見工業高校で全国制覇。同志社大学では大学選手権で3連覇、神戸製鋼で7連覇に貢献。高校、大学で指導を受け、成長する経験を通じて、コーチングを受け、自らも育てる立場となった。今は講演などを広く受けている。

叱り方も相手による

先ず伏見工業で山口良治監督のもと、全国制覇を果たした。叱り方も相手によるが、感情は出したほうが良い。覚悟、情熱などを伝えても良い。伝え方には感情を交えることも有効。

伏見工業での3年間は厳しい指導を受け辛かった。生命の危機を感じるほどだったが、その後は平気である。山口監督の指導は理不尽極まりないものがあったが、リーダーシップがあった。大事なことは、正しいかどうかではなく、人がついてくるかどうかである。中学3年の時に、自宅へ勧誘に来られ「一緒にラグビーしよう。天下をとろう。」と口説かれた。自分で選んだ道であるし、強くなって大学相手にやった。だから高校生相手の練習試合では前半で楽勝状態になったが、ハーフタイムで全員がシバカレた。

「目標は日本一であり、これに近づいているのか、、手を抜いている。力を出し切れ。死に物狂いでやれ。」と全員が殴られた。これを見るだけで下級生は見ているし、相手チームは怖がっている。親が驚いて飛び出すと、「お前みたいになって良いのか」とすごい迫力である。学生は盲目的について行くし、圧倒される。その踏み込みがすごいので、天下が取れそうだと思える。

同志社大学の岡監督は別のマネジメントスタイルである。大学生は大人であり、感情をだないが、気づかせる。最初の出会いで「ラグビー好きか。いいな。うまくなる。」と言われ有り難かった。答えは「時々好きです。」試合は好き、練習は嫌いであり、「面白いこという。皆そう思っている。」しかし、現実は甘くない。試合に出る15人に入るために努力が必要だ。

映画、ラグビー、授業は面白くない。まともな感覚である。30年前の話であり、「卒業、就職のことを考えると親に申し訳ないと思え。」と諭された。好きな者が集まって、日本一を目指す覚悟ができた。 一年からスタンドオフとして試合に出してもらったが、無視されて「お前のゲーム、面白くない。」次のゲームも出て、良いできであったが、やっぱり「面白ないな。あかんところはない。完璧や。そやけど意外性がない。」同僚のプレーについて「あいつは良い。期待を裏切る。」との評価である。

ぎりぎりの経験が役に立つ

ある時、スタンドで岡監督と「一所に見よう」と誘ってもらい、ゲーム感を見た。雨の中の試合で、選手がミスをした中、黙って見ておられた。最後勝ちきるために、一つのミスで反省してもダメ。取り替えしたろかと思うこと、こんな日はミスの仕合になるので猛々しく戦うことが大切である。ミスで落ち込むと、相手のミスに気付かない。勝ち目がないのである。ここで、自分の姿勢のことと思った。

次の仕合で「行くときは行こうとバンバン行った。大苦戦したが、ようやく勝った。」監督は、「今日は良かったな。ドキドキした。楽しかった。」このような経験を積んでいないと本当のゲームはできない。 ラグビー部をさらに大きくするための、感覚を身につけ上手くなっていった。

好きな奴と付き合いたいと仲間を選ぶ。例えば、新しい話をする奴は前に進んでいる。面白い仲間が増え、あの時はと振り返り、日々前進し、鍛えられて行く中で自己が育つのである。

Q&A

Q: 講演を聴いて涙が出た。
→指導される側の対象による。両方のコーチングが必要。真ん中かも知れない。相手による。

Q:今年のラグビーは? 神戸製鋼も苦戦している。今の当時者についてはどう思うか。
→今年の神戸製鋼は悪くない(※リーグ終了時5位だった)。 同志社について、関西は伸び伸びしている。上下関係の異質な雰囲気があり、更になあなあになっている。今は関東の大学のように組織としての規律が強く、役割、責任などあるが、時代による。

Q:失敗したら下向いてしまう。これを避けるコツは
→考えても仕方がない。これからどうするか、引っ張られるとマイナスになる。切り替えるようにする。自分なりに変えていった。

Q:いい選手、頑張れる選手とは?
→自分で選んだ道であり、目標を持っている、リーダーについて行く。ダメな人は仕方なくやっている。やりたいことを持っていない。体当たりしない、できないなど、ダサいと思う人が多い。

Q:コンサルしているが、どこから動くか。モチベーションをあげたい。
→実感を持つ。やりたいことができる。職業になっている。向上するために,実感の適性がある。向上の実感、貢献の実感、、家族にも期待したい。考え方が間違いかどうか、あまり他の目を気にしすぎず、チームとしては共感が必要である。

コメント

さすがに、実践、実績のある人の発言であり、興味深く聞けた。

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