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第9号見出し

「関西を元気に!技術士の提言」の編集に参画して  2011.1.18/28

 技術士の活動が社会に貢献できることを外部発信して認識してもらい、実のある活動につなげたい。フジサンケイビジネスアイ大阪本部企画担当の助田さんには、最初、環境研究会の特別講演会の開催案内掲載を引き受けて頂いた。そのご縁で何か面白い企画を一緒にやれないかと、私の事務所で相談した。同紙は技術士会本部との契約で「地域で活躍する技術士」が毎週掲載されている。内容的には、学校での理科実験などボランティア的な活動が多く、少し物足りない。そこで、沈滞する関西を活性化の課題に踏み込んで提言することで合意できた。

高速道路のネットワーク化の課題

 地域の活動を活性化するためには、鉄道とともに高速道路の整備が欠かせない。2005年の愛知万博を機会に技術士会環境研究会で名古屋地区の空港、港湾、高速道路の調査を実施し、計画的に整備が進んでいることに目を見張った。帰ってから、関西の高速道路の状況をインターネットで調査したが実態が見えてこない。都市間高速道路、都市内高速道路の連携など、高速道路会社や近畿地方建設局の資料を見てもよく分からない。一般のユーザーは、高速道路の整備は国や行政の役割であり、渋滞などは仕方のないものと考えているようだ。渋滞による国の損失は年間12兆円との試算もある。

2010年初めに第2京阪高速が40年かかって延長30kmに1兆円を要して開通したと各新聞は興味半分の記事を書いていた。なぜそうのような状態になったのか、何が問題なのか、どうすればよいのか、低成長、成熟化しているからこそ掘り下げる必要があると感じた。他のテーマを含め12回シリーズの資料・情報集めに取り掛かった。

コンサルティング能力の高い技術士

 技術士には上位の資格として総合技術監理部門がある。プロとしてコンサルティング能力を身に付けると実力を発揮できる。環境研究会の安ヵ川常孝代表幹事は、その中でも傑出した実力がある。私は技術士に合格して以来14年間指導を受けてきたが、今回の作業でも、原案を書くと常に的確に補強のポイントを指摘してくださる。新聞社もこれを常に採用し、質の高いレポートに繋がった。途中、安ヵ川さんが入院されたので、病院に通い、アドバイスを受ける関係が続いた。広い視野とバランス感覚、アドバイスのスキルなど見習うことが多い。退院後は養生が必要であり、自分で判断する幅を広げるように努めた。

外部の有識者との連携

 高度経済成長時代は、少々のムダやロスがあっても全体が吸収してくれる。現在は成熟化し、低成長の中で長期的、俯瞰的に課題を浮き彫りにして「選択と集中」による取組みが必須である。構造的に少子高齢化やグローバル化、情報化の中で、国際競争力が求められる。しかし、行政のスタッフや学識経験者にもそれぞれ弱点がある。@現場で通じるための経験が少ない。A行政は、特に関西の場合、広域的な視点での活動がしにくい。B時間(スピード)と金銭に係わる感覚が鈍い。だから、理念がよくても実践に繋げるための補完的で専門的な戦力が必要になる。一方、企業は長期的で戦略的な技術開発、イノベーションを目指しているが、自社(グループ・業界)の売り上げと利益、行政からの支援にこだわり、短期的で偏りのある活動に陥る懸念もある。

これを技術士集団として連携し、行政や有識者の弱点を補完できると安価で良質な地域のシンクタンクとして機能する可能性がある。多くの有識者からご支援いただいた。1984年に米国の集合住宅調査団に参加した方々ご夫妻との忘年会が昨年末もあった。本件について増子亨氏(攻玉社中高校理事長、元東京ガス専務)から、心のこもった感想文を頂戴した。今後も、これらのネットワークを大切にし、次の活動につなげるために慌てず、粘り強く取組みの可能性を求めて行きたい。

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