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第9号見出し

鈴木 敏文氏 「ブレない話とその論法」 2010.6.14 プレジデントより

セブン&ホールディングス会長兼CEO1932生まれ

1.話術ではなく論法が重要

 「顧客(相手)の立場」で考え、発想・提案する。例えばセブンイレブンに対してロイヤリティの率でなく額を増やす提案をした。心理的負担、不安や不満を解消し、期待へと繋げる手法である。 

別の例として、スーパー出店に際し、商店街の反対に対し、商圏の拡大、顧客の誘引、共存共栄をめざすことを提案した。

2.伝え方の工夫

  • 値引き販売でなく、下取り販売というと、顧客にとって不要になった衣類に価値が生まれる。
  • 民主党は政権交代前に年金問題を追及したが、政権交代後も国民は不安を感じたままである。

3.対談や講演では話が続けられる 。

頭の中を白紙にして臨む。相手、顧客の反応を見ながら頭をフル回転させて話す。共感するところは、自分の考えをぶつけると反応が返ってくる。話題が出ることもある。双方向のやり取り、コミュニケーション能力が必要である。

基本はブレず、変わらない。相手の心理をつかみ不安をなくす論法や不満を期待に変える論法で、自分の考えをぶつける。例えば、.店で試着した時、顧客は他人の目を意識する。この気持ちを代弁する形で「よくお似合いですよ。」と伝えるのがよい。

4.言葉の裏づけを共有する。

  • 「言葉が通じない。」ことについて、セブンイレブンを活かして発展していくというコンセプトの共有が必要。顧客のためにではなく「顧客の立場で」考える。一旦売り手の都合を否定する必要がある。自分は相手にどんなことを伝えるかを考えること、これが「本当の会話力」になる。
  • 借り物の言葉は伝わらない。自分が常に考えていること、経験して知っていることは平易に表現できる。例えば.親切心のつもりで自分の知っていることを延々と話すと、聞き手を疲れさせる。
  • 相手の心に残る言葉、言いかえが必要。常に変化する顧客のニーズを競争相手とする。いつも「変化対応」「過去の経験の否定」「新しいことへの挑戦」について述べる。例えば、.健康を維持するための運動は、長期にわたって効果がでる。「単品管理」の実践と検証により、「経営の筋肉」が鍛えられ、レベルアップが図れる。同じことを続けてもやがて飽きられてしまう。身近なところからネタを収集すると、共感を呼びやすい。
  • 数字は使い方次第で毒も薬にもなる。例えば、同じ商品を沢山置くと、手を伸ばしたくなる。 また、牛肉など値ごろの価格帯だけでなく、比較できると「手ごろな価格」と映る。
  • 人は自分なりに「消化した情報」に耳を傾ける。経験した情報に説得力がある。原点だけは見失わないこと。コンビニのあり方の原点は年中無休であり、正月にもパンを店に置く。
  • 相手の頭の中に「同じテンプレート」を作る。上手いラーメンのテンプレート(めん、スープ、チャーシュー、器などの要素と構造)がある。「伝える」と「分かる」を一致させることは必ずしも容易ではない。
  • 自分の考えをブレさせずに相手が動くまで伝え続ける。
コメント

氏は、普段は口下手であるが、基本をしっかり抑え、自分の考えがブレないので、場面に応じてことばが出てくるという。 

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