
適切・的確な情報発信で社会の理解・共感を
1. エネルギー読み聞かせ絵本の制作・発行
エネルギー読み聞かせ絵本「太陽からのおくりもの」を超短期間で制作・発行できた。「火事場のくそ力」を発揮したのである。
エネルギーは身近であるために、情報が氾濫する中で、全体を見通せる情報がない。そして、人々がそれぞれの立場で自分のイメージを持っており、変えることも不可能である。大気汚染がなくて、CO2の排出量が少ないLNGによる火力発電所の原型は20年前に建設され、現在も稼働している。日本は大都市域での深刻な大気汚染問題を経験し、技術開発で克服してきた。この経験を活かして、2016年5月に名古屋で国際影響評価学会(IAIA16) が開催され、関連論文を2件発表した。
原科幸彦大会実行委員長(現千葉商科大学学長、東京工大名誉教授)から、発表に合わせて、出版物を作ることを強く要請された。この結果できた絵本を非売品として2000部製作した。すでに手元に亡くなったので、本ホームページで公開する。なお、読み聞かせ絵本の本来の目標は、次世代で活躍する子供や孫たちへの子守歌になればと、この機会に改定して販売することにしたので、ご利用いただけるとありがたい。
a)「日本一明るい経済新聞」の記事(2016年.8月号)
絵本の内容を最初に取り上げて下さったのは「日本一明るい経済新聞」社の竹原信夫編集長である。竹原さんは大手新聞社から独立されて関西を中心に元気な中小企業の活動を紹介し、地域産業の活性化に尽力されている。
b)「ビッグイシュー」での紹介記事
「ビッグイシュー」は失業して、ホームレスとなり苦しい生活をしている方々を支援するために英国で発行された。このことを調査して即座に日本での発行を検討し、大阪で事業を立ち上げ、2003年に日本語版が発行された。大きな駅前で販売されているので、ご存じの方も多いと思われる。
読み聞かせ絵本は広く普及させることが目的であり、プロの出版社の目からはアラが目立つようであるが、内容(コンテンツ)が良ければ、いずれ普及できると考えている。英語の文字が小さいので、もう少し大きくして、海外でも活用してくださるように展開も図れる。
編集責任者のご指導を受けて、2017年4月号のマイ・オピニオン欄に掲載して頂けた。ここで、ホームページに掲載することを表示したのが、きっかけとなり、大切なことに気がついた。2000年に大阪ガスを58歳で退職して会社を設立・開業した。友人の勧めがあり、2001年にエコ・サポート通信を発行した。どれだけ多くの方が読んでくださっているかも大切であるが、自分自身がその時々で考えて発表してきた記録であり、読み返してみると感慨深い。2012年に発電・エネルギー戦略のあり方について発表した。その後、多くの方の協力を得て前進してきたが、広く周知し地域社会の共感・共鳴を得て、共同で世の中を変えていくための基地である。ネットワークが広がり共同で活動・支援して下さる方々にとってもこの基地があることは心強いものになる。
2. 論点を絞って発表して評価された
日本発の技術で世界に普及可能な天然ガスによる先進型火力発電(S-GTCC)の実現に向けてプレーヤー・事業者との連携で50万kW級ではなく、もっと小規模な5000kW 級で実現可能か、経済性があるか、長期間安定して運転できるかなどの調査報告書を作成・提出することになった。
GTCC(ガスタービン・コンバインドサイクル)で、ガスタービンと蒸気タービンのいわゆるハイブリッドな高効率発電システムのことで1980年代から広く普及している。Sは先進型、持続可能なという意味で、大気汚染のないさらに高効率な発電システムである。
日本でかつて深刻な大気汚染問題を経験してきたことを真剣に受け止めると誰もが簡単に思いつき、確立した技術の組み合わせできるが、電力会社も発電システムメーカーも動かない。だから、すぐには信用されないことになる。
企業等で経験を積んだ技術者を対象にして2017年2月にエネルギー読み聞かせ絵本をベースに2回講演をした。最初は今後燃料であるLNG・シェールガスが低価格で長期に安定して輸入できることは理解された。興味深い内容であるが、その他についてはコンセンサスを得ることができなかった。2回目は論点を絞り込んだ結果、アンケート(回答数23)で高い理解・評価を得ることができた。
TMC季刊誌「環」2017年夏号に下記が掲載される予定である。
「日本の経験から見える持続可能なエネルギー戦略」
先進型LNG火力発電実現に向け、内容を4つに絞り込んで発表した。
- 米国のLNG・シェールガス革命に伴いLNG火力は経済性が高い。
- LNG導入でわが国の大都市域の大気汚染は改善、今後も期待できる。
- LNGによる先進型火力発電の技術対策は実現可能
- 地球温暖化対策は長期的な視点での軌道修正が必要。また、LNG火力と太陽光発電の組み合わせは当面の対策として有効。
アンケート結果と質疑の内容から、肯定的に受け止められ感謝するとともに、今後の活動に向けて大きな自信になった。