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第9号見出し

70歳を迎えてどう生きるか (その2)
  「人生七十、古来稀なり」になって       2011.1.2

65歳からJRではジパングクラブに入会でき、3割引で切符を買える。保養地に行くと65歳以上が割引になり儲かったと思うことで年齢を自覚した。

 ところが、今や古稀である。日本では65歳以上が21%以上(実際には23%)と国際的には超高齢化社会」に突入した。古稀は数え歳70歳をさす呼称である。先月、勤めていた会社から古稀のお祝いとして腕時計を頂いた。また、続けさまに年齢を意識させられる出来事が続いた。6月に日本技術士会の第16次訪中団に参加し、上海万博のスケールの大きさ、その中で中国館の迫力に圧倒された。会場内のバスに乗ったところ、かなり混雑していたが、座っている中国の方から座席を譲られた。同行している先輩に譲ったが、そのような歳に見えるのである。

 また、同僚から、「山本さんは70歳以上だからパビリオンの優待入場ができていいですね。」と言われ愕然とした。帰ってから仲間内で話していたら、同年輩と思っていた方から「山本さんは70歳以上にしては気が若いですね。」とダメを押されてしまった。

七十路(ななそじ)の人生

「人生七十、古来稀なり」とは唐代の詩人杜甫の「曲江」という詩に由来するという。

論語の為政編には「吾十有五にして学に志す」という言葉があり、強く心に残っている。また、「六十にして耳順う」、相手の言うことから善悪などを素直に判断できるようになるとの「耳順」の言葉に励まされて60歳代を生きてきた。ところが、「七十にして心の欲するところに従ひて矩を踰えず」とあり、思うままに動いても人の道を踏み外さない「従心(じゅうしん)」、「踰矩(ゆく)」の年齢に足を掛けたのである。

日本の男性の平均寿命は78.56歳である(2005年現在)。これから残された10数年を如何に生きるかは、今まで以上に重要になってくる。

元気で好奇心旺盛な先輩技術士

70歳になると裁判官ですら定年になる。社会的には余生をゆったりと暮らす年齢になるので、同期の仲間も次々とリタイアしている。道路交通法には、70歳以上になり「加齢に伴つて生ずる身体の機能の低下が自動車の運転に影響を及ぼすおそれがある」場合には、シルバーマークをつけて運転するように努めることが定めてある。身体能力は加齢とともに衰えてくるので、少しずつ頑固になり物忘れも進んでくるように思う。

 しかしながら、訪中団で北京、天津、フフホト(内蒙古)に一緒に行った12名のうち、半数の6名は75歳以上の高齢であった。驚いたのは、上海万博でも2日間で25km歩く活動量であったが、その後も一向に気力・体力が衰えず、若者と同様に好奇心旺盛に行動されたのには感激した。私も、先輩諸氏に見習ってこれからの10年間を精一杯生きていこうと勇気付けられた。

 技術士は国家資格であり7万人が有資格者であるが、認知度は相当低い。しかし、中国では国家建設になくてはならない技術者として高く評価された。また、わが国の大学でも「JABEE」という制度ができ、卒業時に技術士補の資格取得者が大幅に増加しており、最短では28歳で技術士の資格がとれる。閉塞状態にある日本社会を活性化するために、技術士が社会に情報発信し、貢献することに少しでも尽力できればと願っている。

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