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第9号見出し

70歳を迎えてどう生きるか (その4) 『残された時間の有効活用』

 残された時間はそう多くない。だから、一日一日を充実させる必要がある。

60歳で定年になり幸福な余生を過ごすという一般的な概念があった。仕事という義務的な労働から解放されて、余生を好きな趣味や旅行、交友などで時間を楽しむ。定年になって何もすることがなくなり、愕然とする話を聞くが、老後の計画を考える余裕もなく、ひたすら日々の生活に追われた結果ともいえる。

一方、ボランティアと称して、わずかな補助金を出し、安い労働力を使いまわす社会システムを良しとする風潮が生まれつつある。結果的に若年者の非正規雇用や平均年収200万円以下の低所得者層の増大など、格差社会を招く遠因になっているようだ。

@健康の維持

 加齢とともに心身の老化は避けられない。65歳以上の人口が23%と長高齢化社会に突入したわが国では、毎年医療費が1兆円以上増大しつづけ、財政破綻とともに介護保険などを含めても老後の不安が高まるばかりである。

一方、健康的な生活ができるということは、有意義な時間を使う基本になる。私の場合は、日々には、歩くこと(事務所までの徒歩通勤などで1日1万歩)、食事、睡眠等がある。週単位には中国式健康体操(太極拳のようなもの)、社交ダンス(ストレッチ運動として)、マッサージ(健康保険が適用され、機械によるものを含めて1時間)などがある。月ごとにはストレスをためない生活リズムを維持するために、ゴルフ(高校の柔道部OB仲間に同期の女性を交えて)と夜の懇親会、また、家内と二人の息子を交えての店(エイコーンスタジオ)の経営会議。

 さらに、適当な緊張(集中)と弛緩(リラックス)、オンとオフの切り替えが重要で、月に一回は淡路島のリゾートマンションとクワハウス(温泉)で、心身の疲れをほぐす。毎年、人間ドックに行って、データの確認と医師のアドバイスを聴くが、胃検診は必ず胃カメラによる方法をお願いしている。

A時間の価値と使い方

20歳代から50歳代までが人生で最も充実したときであるとしたら、これらの経験・知識を糧にして60歳代から知的生産業務であるコンサルタント、生涯現役を目指し、仕事を中心において、クリエイティブ(創造的)な生活を送れることば幸せなことだ。

 バリューエンジニアリング(価値工学、VE)ということばがある。一般に価値は効果/費用で表すが、これを効用/犠牲に置き換えるとより具体的になる。新商品があふれるばかりに出てくるが、ユーサーにとっての効用を大きくするマーケティング、顧客満足を目指す取組みが望まれる。しかし、一方で犠牲を小さくする取組みが、限られた時間の中ではとても重要になる。

 仮に後10〜15年間元気に活動できるとして、残された時間がこれまでの70年近い時間と等価と捉えると、時間当たりの価値は、若い頃の5倍に相当するほど貴重だ。雑用などでなく、頭脳労働などでどこまで生産的な時間を使えるかが、大きな価値を持つことに気づく。

 金銭的に余裕があるなら、身の回りの情報環境を整備するのに、多少費用がかかっても安いものである。今からパソコンを勉強する時間を使うのは勿体ないので、サービスを買うという需要が発生する。IPadなど優れた情報機器が高齢者にも使える。

一方、時間を目一杯使って働く必要はないので、街中でも健康を理由として、電車やタクシーは極力控えることで、節約モードを発揮する。これは厚生年金だけでも生活できるように日ごろから訓練している予防処置でもある。

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